デザイン: 2008年6月アーカイブ

Squeak

| | トラックバック(0)

「コンピュータの父」アラン・ケイ博士が開発した、子供のためのオーサリングツールです。
アメリカでは、コンピュータを利用した教育の題材として、何年にもわたる研究が進められているそうです。
日本では、HPが「スーパーサイエンスキッズ」として、Squeakを使ったワークショップを時々行っています。何度か♪と★と共にワークショップに参加していますが、初めてワークショップに参加したときの話。

07032402.jpg

参加者は10名ほどの小学校中~高学年の子供たち。何人ものチューターの方々が面倒を見てくれて、初心者でも丁寧に教えてくれました。何と言ってもまず♪★が驚いていたのは、自分が描いた絵が動くということ。Kid PixやKids Paint などのツールはよく使っているので、マウスで絵を描くことには抵抗がないのですが、それが動くということに、まず興奮してしまい、その後の説明が始まっても、殆ど聞いてやしません...。絵を描いては動かすことにすっかりはまっていました。

07032401.jpg

続いて車のハンドルと車の関係、更に道路の関係を考慮しながら、スクリプトを組んで、道路を走る車の動きを作って行くのですが、かなり概念が難しいので、普通の小学生がツールを習得するには、少し時間が短いようです。どうにかこうにか見よう見まねで、車と道路を作り終えました。
後半はオリジナルものの制作。今一つ概念が理解できていないので、動きの計画を立てるのが難しく、更に実践しようとしても、そう簡単にはできず、結局チュータの方にほとんど作ってもらったような感じでした。

ワークショップ自体は、子供たちがそれなりに楽しめて、勉強にもなる、すばらしいものですが、Squeakというツールについて、少し思うところがありました。
使いこむにつれ、その奥の深さ、可能性の広さの実感できるツールなのだと思いますが、それにしてはインターフェイスデザインがちょっと貧弱です。画面によってデザインのテイストが変わったり、ツールの表示位置が変ったりするので、それも初心者の子供には混乱を招く原因になっているようです。いかにも、昔作ったものをベースに継ぎ足していっている、技術先行型ツールという印象です。

子供を対象とするものは、大人用のツールよりも更に一層、見た目の印象や操作の一貫性を大切にして、子供が取り組みやすいデザインにすることを心掛けなければならないと思います。昔と比べたら、デザインのクォリティが格段に上がっている今、子供たちの目もかなり肥えているはず。アメリカでもこのまま使っているのだろうか?と不思議に思いました。


MITのパパート博士の研究から始まった、mindstormは商品化されて、すっかり洗練されました。こちらが、立体物やロボットに繋がるリテラシー教育の基本であるなら、Squeakは、グラフィックやアニメーションの世界に繋がるリテラシーの基本になるかもしれません。今後の動向にも注目していきたいものです。

HPスーパーサイエンスキッズ
スクイークランド


今日はデザイン演習の授業でした。

いつも演習の授業では、「その人にしかできない表現」を何とかして引き出したいと思っていろいろアドバイスします。

対象を徹底的に観察すること、使う人の声をよく聞くこと、自分も使う側の立場にたつこと、これらはデザインをするときの原点ともいえるもので、まず現状をよく知って分析することはとても大切です。
この現状分析は、ある程度訓練を積めば、誰でもできますが、そこから表現に結びつけていく部分がとても難しい。

もちろん、表面的にしか分析できていなければ、対象を深く理解していないので、表現も伴わない場合が多いのですが、仮によく分析できていたとしても、手にした情報を自分のなかで反芻し、形にうまく結びつけられるとは限りません。おそらく、何かきっかけになるようなことが必要なのだと思うのです。いったい人は、どんなきっかけで発想するのだろうか、ということがいつも気になっています。

「佐藤可士和の超整理術」(日本経済新聞出版社)には、現状分析からクリエイティブに至るまでのステップが、本のタイトル通り、秩序立てて書かれていますが、ここでは、情報の整理から表現に転換するときのキーワードとして「視点を持つ」というキーワードが書かれています。
確かに、自分なりの独自のものの見方ができて初めて、唯一無二の提案となる...ということを説明するのに、「視点を持つ」というのは、とてもわかりやすい言い方ですね。

とはいえ、その「視点」は、やはり簡単に手に入れられるものではなく、日ごろから感性を研ぎ澄まし、深く考える訓練をすることがベースになると思います。

授業でも、よい作品に出会うことができるように、試行錯誤の日々は続きます。


spoon.jpg

年に一度、美大の出身学科でインターフェイスデザインについての特別講義を行うようになって、今年で6回目になります。ふだんは別の学科などで演習授業を担当しているのですが、講義となると話は別。

元々、それほど話をするのが得意でない私にとって、90分間一人で話し続けなければならないというのは、とてもプレッシャーです。
初めての時は、完全な台本のような原稿を書いて、何度も読んで暗記をしました。講義に慣れている先生方に笑われてしまいそうな不器用なやり方ですが、そうしないと不安でたまらなかったのです。

講義には、PowerPointの資料やムービーなどを準備して、PowerPointで説明しながら話をすすめ、時々息抜きにムービーを入れたりします。
最初のうちは、時間配分が難しく、盛りだくさんになりすぎて時間が足りなくなってしまったり、逆に時間が余ってしまったり...ぴったり90分でうまく内容をまとめるのは大変です。
足りなくなるほうは、適当に切り上げれば済むので、まだよいのですが、余ってしまうと最悪です。「質問ありませんか?と」聞いてみても、そういう時に限って誰も手をあげてくれなかったりして...トホホ。

最近は、資料を分割して、それぞれ10分ずつくらいにまとめ、大まかなタイムテーブルを作って、学生の様子を見ながら、順序を入れ替えたり、少し飛ばしたりして臨機応変にすすめる余裕が出てきました。今年は、8つのPowerPointと5つのショートムービーを準備しましたが、時間をみてPowerPoint1つとムービー1つを飛ばし、途中ちょっと眠くなりそうな時間帯に参加型のデモを入れて、ほぼ95分ほどで終了。

時間配分のほかに、もう一つプレッシャーの元になるのが、「講義テンションをつくること」です。
講義というのは、舞台に上がって演じることと少し似ている感じがします。元気でメリハリのある講義にするためには、脳を活性化し、集中力をもつことが必要。そのためにはテンションを上げ、若干興奮状態をつくらないと、授業がこなせない気がするのです。
慣れてくると、原稿をきっちり書いて覚えなくても、話の骨格とキーワードが頭に入っている状態で、「講義テンション」にうまく入れれば、自然に言葉が出てくることがわかってきました。
事前に左脳を使ってきっちり準備して、本番では準備の成果が最大限に出せるように、右脳ですすめていく...そんなイメージでしょうか。

講義後、学生からのアンケートが研究室から送られてきます。
「わかりやすい授業だった」「インターフェイスデザインが身近になった」「コンピュータばかりの世界のものかと思ったら、人との関わりがとても大切だということがわかった」などと書かれていると、ほっと一安心。ドキドキ、ヒヤヒヤ、の準備が報われます。

何年たっても、プレッシャーと戦いつつ、影の苦労に気づかれないようにして「本番」に臨む私なのでした。


gkl-10011.jpg

引き続き魚2のご紹介。
同じく7月10日に発売する「かたちライブラリー」の新作、魚2のパッケージです。

これは本当にクォリティーが高いです!
サンゴ礁の美しい魚たちが、写真と見間違うほどリアルに描かれています。

魚の写真は、どうしても水や岩が写ってしまいますが、どんな背景にも泳がせる(?)ことができるので、便利に使っていただけることと思います!

おなじみのクマノミ、ツノダシ、チョウチョウウオなどのかわいく美しい魚たちや、ちょっとレアな、マンジュウイシモチ、ナメダンゴ、オイランヨウジウオなど、魅力的な魚がいっぱい!

これからの季節のデザインワークに、ぜひ役立ててください。


gkl-10003.jpg

7月10日発売決定!
高精細イラスト素材集「かたちライブラリー」の新作、動物3のパッケージです。

動物3にはアジアの哺乳類が収録されています。パンダは3ポーズ入っていますよ!トラも模様がきれいです。デマレルーセットオオコウモリやジャワマメジカなど、珍しい動物もいろいろ入っていて、おすすめです!

現在印刷物の準備中。楽しみにお待ちください。

2016年2月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          

ジャイロ

App GYRO
And GYRO
GYRO Inc.
Picnino