肺機能(スパイロメトリー)検査を体験してきました!
この度、チェスト株式会社様からのご依頼を受け、肺機能検査中のモニターに表示されるアニメーションと、検査手帳+その付録シールのデザインを弊社で制作させていただきました!
制作物の実装と学会への発表等が完了したとのことで、実機を使った検査体験をして参りました!
今回はその検査体験をして得られた感想やスパイロメーターの使われ方についてなどをご紹介していきます。
肺機能(スパイロメトリー)検査とは
スパイロメトリー検査とは、患者の肺活量もとい肺の状態を調べるための検査です。
肺に空気をどのくらい吸えて、どのくらい吐くことができるか、呼吸の速さと量を測ることで肺や気道の状態が分かります。
この検査は喘息など呼吸器関連の病気が疑われる際や、それらの状態を調べる目的で行われるものです。
一般的に検査名をスパイロメトリー検査、検査に使用する医療機器をスパイロメーターと呼称します。
本プロジェクトの概要
スパイロメトリー検査を受ける患者には小児喘息を発症した子供が多くいます。
正確な検査数値を得るために、一度の検査で何度か激しく息を吐く必要があるこの検査は、患者の身体に多少の負担を要します。治療経過の確認のためにも定期的に検査を受けることが推奨されていますが、負担の印象があるためか、子供たちが検査に億劫になりがちだと現場は悩まされていました。
そんな検査に対するネガティブな印象を改善し、検査を積極的に受けてもらうべく考案した施策が、スパイロメーターへの検査アニメーション導入とキャラクターたちが描かれた検査手帳の配布です。
検査中、自身の呼吸量に応じてアニメーションが動く仕組みと、検査後にキャラクターシールを手帳に貼ることで達成度を視覚化し、検査が楽しいものだと感じられるようにすることが目標とされています。
訪問当日
当日はチェスト株式会社様の本社(東京都文京区)に訪問しました。
一階にはチェスト様が取り扱っている呼吸関連の医療機器が全て並べられています。
何十年も前に作られた有水式のスパイロメーターから最新鋭の検査機器、小型の人工呼吸器など、多くの機器を見学させていただきました。
それぞれの機器について、特徴から開発背景まで丁寧にご説明してくださいました。
検査体験をしてみて
会社案内とプロジェクト概要について改めて説明していただいた後、技師さんの補助のもと実機を使った検査体験をさせていただきました。
技師さんの指示に従い、空気が漏れないよう鼻は塞いで、マウスピースを咥えた状態で息を口から一気に吸って一気に吐き出して測定を行います。
測定をする前に年齢と性別・身長から肺活量の基準値を割り出します。
測定結果が基準値を下回ったり、吐くスピードが遅かったり、1秒間に吐く量が少なかったりすると、喘息などの疾患の可能性があるそうです。
ただし大きく下回った場合は機器の装着方法、空気が口の隙間から漏れていないかなどの点が考えられるため測定を繰り返し行う場合があります。
実際にアニメーションを見ながら検査を受けてみると、非常に面白い体験を得られました。
前述したように呼吸に連動してモニターのアニメーションが微動し、吐き出す勢いでアニメーションも進むシステムです。
このアニメーションにキャラクターたちを配置しており、測定中の数値が基準値に到達するとアニメーションの演出を最後まで見られるので、検査というより少しゲームに近い感覚で受けることができました。
最後まで演出を見られた時は検査を見ていた周りも盛り上がり、大きな達成感を得られたと思います。
基準値を下回ってしまったとしても、「次こそは!」という気持ちでいられ、楽しい悔しさを感じられました。
(自分らで作ったアニメーションを肺活量が足りず最後まで見られないというのは悲しかったですが…)
アニメーションが追加されたことで、ゲーム感覚も加わり、検査の印象をポジティブな方向に少し変化させられたのではないでしょうか。
この検査で得た達成感や少しの悔しさは、子供たちに、またこの検査をしようという動機付けになり得ると思います。
そして検査体験を経て、この施策はチェスト様の想いを確かに叶えられるものになっていると実感しました。
制作時の裏話
今回アニメーション制作にあたって、キャラクター以外のオブジェクトやエフェクトはジャイロメンバーが手書きで1から描き起こしたものです。
制作したアニメーションのうち、カーテンがめくれる表現を書き起こす必要があったため、カーテンの物理的動きをしっかりと観察・把握してから制作にあたらなければなりませんでした。そのため数々の資料と睨み合いながら試行錯誤を繰り返しました。
(布のフワッとする感じを再現するため、メンバーの自宅のカーテンが風になびく様子を録画して参考にしたり…納得いくまで数十回描き直した記憶が…)
配布される検査手帳も細部に至るまで熟考して制作しました。
制作物を確認していただいた際、「本企画のねらいをしっかりと理解したデザインをしてくれている」と評して頂けて大変嬉しかったです!
難しい仕事でありながらも、それを見て喜ぶ子供たちを想像しながら制作している時間は、とても有難いものでした。
さいごに
チェスト様から機器の説明などをお聞きしていると、今回のプロジェクトや小児用人工呼吸器のコンセプトなど、チェスト様は自社の製品を使用する人に、どのような体験をしてほしいかに、とても重きを置いておられました。製品を少しでもユーザの日常に溶け込ませ、愛着を抱かすための工夫をできる限りしている姿勢が感じられます。
ただ検査をする、ということだけでも患者の心には不快感を与えることも有り得て、治療のためにも続ける必要があるならば、それを促すためには開発構想段階でUXデザインを織り込んで臨まなければならないのだと改めて考えさせられました。
医療機器を日常的に使用する状況というのは、その時点でネガティブな感覚になりそうですが、だからこそ、そこに関わる人々の体験を少しでも豊かにするためにデザインというのは非常に重要なのだと思えます。
この度は貴重なお仕事と体験の両方をさせていただいたこと、この場にて改めて御礼申し上げます。
弊社一同非常に有意義な時間を過ごすことが叶いました。
是非今後とも、チェスト様と共にお仕事していきたく存じます。
実機のアニメーションや検査手帳は続々と全国に実装・配布されているため、
皆様のお目に入った際は是非とも楽しんでいただきたいです!
2022年の初詣
新年のご挨拶に次いで、ジャイロは少し遅めの初詣。
制作室の近くに在る桐ヶ谷氷川神社にてお参りをしました!
氷川と名のつく神社は氷川信仰、スサノオに対する神道の信仰名から来ています。
なので御祭神は暴風雨を司る素盞嗚尊(スサノオノミコト)、ご利益は厄除けだそうです。
相殿神には誉田別尊・建御名方命・面足命・惶根命もおられるようです。
創建年代は不詳のようですが当地の旧名である桐ヶ谷村の開拓と共に江戸期に創建されたのではないかという説があります。
いくたびの戦災を免れ、現存している本殿、木造の色合いには時代を感じますね!
昨年は感染症などにより、ジャイロも様々な苦難を乗り越えることとなりました。
本年は安泰でありながらも発展のある年を迎えられるよう祈願しました。
お参りも終えておみくじをみんなで引きました。金色の輪っかで留められていて高級感がありますね。
幸い凶を引いたメンバーはおらず、平和な年明けとなりました!
改めて、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
ゴキブリポーカー
お昼を早く済ませて、みんなでポーカーゲームをしました。
スタッフ私物ポーカーです。楽しいものはすぐ共有しちゃうジャイロメンツ。
ゲームですが、簡単に説明しますと、嘘をついている人を当てゲームですね。
嘘を見抜く能力が試されます。そして騙す。。真面目なスタッフばかりなので、展開がなかなか面白かった。
20分くらいなので、お昼でもできちゃう🍙。
最後の駆け引きが熱いですね🔥。スタッフの疑心暗鬼👹がすごい。。
まったりカードゲームいいですよ。
新年のご挨拶
明けましておめでとうございます。
今年、ジャイロは30周年を迎えます。
30年前のデザイン業界では、どんな話題が飛び交っていたのでしょうか。
にっけいでざいん1992年1月号の特集は「ニッポン・デザイン紀行」。各地の伝統工芸と新しいデザインの融合の取り組み事例の紹介、というテーマそのものは、今でもあまり変わらないように思います。しかし、「デジタル」の捉え方、言葉の使われ方は今と大きく異なります。
CG(この表現も今はデザイン業務では使わなくなった)で表現を行う人が「コンピューターを繰るデザイナー」と呼ばれる記事があったり、「国内に浸透するDTP、その予想外のスピードと波紋」という記事があったり。
この30年の間にデジタル化がデザイン業界にも大きな変革をもたらしたことは間違いありません。1992年には、まだUI/UXデザインという言葉も存在しませんでした。
ジャイロは、世の中のデジタル化とともに時代を駆け抜け、進化を続けてきました。
30年目の今年も、トレンドを敏感に感じ取り、最新技術や手法に対応しつつ、普遍性のある使いやすさ、美しさを求めて業務を推進していきたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。