久しぶりに「一目惚れ」した本の話。
書店の洋書コーナーにひっそり並んでいたこの絵本。「GALLOP!」です。
表紙を見ると透明になっている部分は、黒と白のフィルムになっており、馬のシルエットが描かれています。
絵本の表現方法として、透明な用紙を使ったり、モアレ模様を見せたりすることは今までにも見られたもので、そう珍しいものではありません。
ところが、この本のすごいところは、ページを開いた瞬間、ページを左右に動かす動きに合わせて透明部分の絵がずれてゆき、アニメしているように見せていること。
開いた瞬間、誰もが「おぉっ!」と声を上げてしまいます。
本というのは、ページをめくって読んだり見たりするものです。人は、それをあまりにも普通の行為として、ふだん意識せずに行っています。
しかし、この本の作者は、ページをめくるときに、ページという紙がどう動くか、そして何が起こるかを、深く観察しています。そしてページを開けるという行為が「スイッチ」になり得ることを示しています。
ページを開くにつれ、馬が走り、鶏が歩き、鷲が飛び、猿が木を渡っていきます。それぞれの絵に関連性はないけれど、「次は何が動くんだろう?」という期待感で、最後までページをめくらずにはいられません。描かれている絵が美しいことも、この本の魅力を倍増しています。
こうやって文で書いても、そのすごさが伝わらないのがもどかしい。何はともあれ、ページをめくってみないことには始まりません。
さあ、とにかく実物のページを開いてみてください!
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