好きになれない言葉

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最近、気になって仕方がないのが、芸能人の結婚相手などによく使う「一般の方」という言い方です。

一般、っていうと、何となく「上から目線」の印象を受けるのは、私だけでしょうか?
有名人ではない人、芸能界で活動している人ではない人、という意味で「一般」なのかもしれませんが、相手の個性を無視しているみたいで、失礼なのではないか、と思ってしまいます。

有名人でなくても、社会人として活動している人には、それぞれ職業やプロフィールというものがあるのだから、具体的な職業でなくても「会社員」「公務員」くらいのことは言ってほしいものだと思うのですが、それも言えないのは、どうして?
まあ、相手は芸能人でないんだから、騒がないでそっとしておいてね、詮索しないでね、という意図も感じられるのですけれどね。

「一般の方」という言い方は、ほかにどんなところで使われているのかと思い、ネットで検索してみたところ、圧倒的に多いのが、大学のサイトでした。
在学生の方へ、卒業生の方へ、教育関係者及び一般の方へ とか、
本学で学びたい方へ、在学生の方へ、卒業生の方へ、企業・一般の方へ とか、
生徒や教職員以外の人に向けた言い方として、多くの大学で使われていました。

「一般の方」というのは、関係者以外の人や、何かの分類に入らない場合の項目として使われているのですね。つまり、「その他」と同じようなものです。
ある意味、便利な言い方なのかもしれません。

でも、この場合の「一般」と芸能人の言う「一般」は少しニュアンスが違いますね。大学の場合は、不特定多数を対象としているわけですから。

そしてもう一つ、耳障りなのが「婚活=コンカツ」という言い方。

最近、やたらとよく言われています。部活や就活から来た言い方であることは、容易に想像できますが、なんだか節操のない表現に感じます。
お見合いというと、ひそかに水面下で行うものという印象を受けますが、婚活は、堂々と、ぶっちゃけで行う感じ。誤解を恐れずに言うと、結婚というものが浅薄に、均質化されて受け止められているように思えてしまいます。

実態はどうなのか、よくわかりませんが、またここでも、日本の「ハレ」と「ケ」の世界観が失われたのか、という印象を受けます。
非日常的な「ハレ」の世界は、日常的な「ケ」の世界とは精神面でも形式面でも違うものであるべきで、この境界線がどんどん無くなっていくことに、漠然とした危機感をおぼえます。

「婚活」というのは、単なる言い方に過ぎないのですが、言葉が文化をつくっていく面もあることを考えると、単に言葉の問題だけでは済まないように思うのです。

こんなことが気になるようになったのも、年のせいなのかな。

そういえば、語学を専門としている父は、私が、英語などの文字が書いてあるTシャツを着ていると、いちいち「それはどういう意味だ」とか「文法がおかしい」などとつっこんできて
面倒臭く思ったものですが、今となっては、納得できる気もしたりして。

最近、どうやら、そんな父に似て来てしまったのかもしれません。

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